ほこたてつうしん

音楽と文学と可愛いものすべてを愛する日記

愛が噛みついて離さないというけれど

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エログロミュージカル映画ゆれる人魚」を観た。
80年代ポーランドの享楽的で退廃的なナイトクラブが舞台で、そこで奏でられるポップで煌びやかな音楽がこの映画を凡百のモンスターパニック映画と隔てている。
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私、この感じ知ってる!
すべてがアルコールの中に溶けていって自分の大切にしていたもの(身体とか気持ちとか)が全部どうでもよくなる感じ。あの、空気中にアルコールが霧散してまた肌から吸収されていくような感じがこの映画にあった。もっと例えるならリンチの赤い部屋みたいな。ゴージャスで心地よくて不安で美しい。私のための映画だと思った。
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恋するって相手を食べちゃいたいってこと。性行為も人魚たちの捕食も好きな相手を自分の体内に入れたい(物理)って意味では同じだしロマンチック。いちど陸に上がったら(暗喩的)恋のひとつもして成果物持ち帰らないとね。それがPDCA回すってことでしょう。ハツモツ美味いしね。
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この清潔な時代の愚かで豊かな性生活と違って、どこか息苦しく明日がないような刹那的で東欧的な血塗れの交歓。「男なんてみんなちんちん虫よ」(岡崎京子桜沢エリカ)とか呟きながらもっかい観たいな。まとめると、最高の映画だった。

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蛇足だけど、シェイプオブウォーターのアマゾン帰りの恋するハイティーン(相対性理論)な彼の中にもこんなエグくて可愛いモンスターが潜んでいたのかな。もっと彼の気持ちが知りたい。拘束され生きるための権利を奪われた状態で生存本能から庇護者に縋ったのではなく、種族を超えた本物の恋なのだと納得してときめきたい。

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聖なる鹿殺しも見なきゃ。